Project

 プロジェクト紹介 (English)

「心の距離メータ」を用いたフィジカル/サイバー空間における人間関係構築技術の開発


プロジェクト概要

個人や組織・社会における「人間関係の質」は、心の健康だけでなく身体の健康にも影響を及ぼすことが報告されています。これまでは、人間関係やそれに関連する心の状態を客観的に把握することは困難とされてきました。フィジカル空間で主に形成されてきた人間関係は、インターネットなどのサイバー空間、それらの融合空間にまで広がっています。人を取り巻く環境を踏まえて人間関係の構築をサポートする技術の開発と社会実装が急がれています。以上のような問題意識のもと、本研究プロジェクトでは、「心の健康」に着目し、フィジカル・サイバーいずれの空間においても人間関係の構築に資する技術の開発を目指しています。

本研究プロジェクトが目指す成果

本研究プロジェクトでは、さまざまなコミュニケーション空間で、「心の距離」を客観的に評価する技術を開発します。また、心の距離の形成や変化に寄与する因子を同定するとともに、人間関係の状態の改善を予測するシステムを構築します。世界的な感染症の影響によりこれまでの生活様式が一変し、サイバー空間におけるコミュニケーションの時間や機会が大幅に増加しました。今後も物理的な距離の取り方、心の距離の取り方を支援するための客観的な指標はますます必要になってくると考えられます。本研究プロジェクトの研究成果が、次代に不可欠なものとなると信じ、研究を推進していきます。

成果イメージ


本プロジェクト構成

本研究プロジェクトでは四つのグループに分かれ、互いに連携しながら研究を進めます。まず「心の距離」や「人間関係の質」を生体情報の面から客観的に計測し、その可視化を試みるのが、岡田グループです。次に西原グループは、自然言語情報の面から「心の距離」や「人間関係の質」を計測、可視化を試みます。続いて山浦グループは、フィジカル・サイバーそれぞれの空間において

岡田・西原両グループが捉えた心の距離や人間関係に関する数々のデータについて、心理学の観点からその「意味づけ」を行います。最後に向グループは、人間関係の質や心の状態の変化が身体の健康とどのように関係しているかを検討します。

プロジェクト構成


Project No.1

プロジェクトリーダー
理工学部 ロボティクス学科

岡田 志麻 教授

1. 研究テーマ

フィジカル空間における心の距離計測、人間関係可視化技術の開発
「心の距離」や「人間関係の質」を客観的に計測し、その可視化を試みるのが、岡田グループです。フィジカル空間(実空間)においては、心電や呼吸数、発汗、行動量、血管収縮反応といった生体情報を計測するウエアラブルマルチセンサシステムを開発します。

2. 研究紹介

※現在準備中です。

Project No.2

グループリーダー
情報理工部 情報理工学科

西原 陽子 教授

1.研究テーマ

サイバー空間における心の距離計測、人間関係可視化技術の開発

サイバー空間における一対一の関係の「心の距離」を計測しようとしています。これまでに西原は、チャットツールでの会話の発言に含まれる、「~です」「~だよ」といった文末表現から発話の意図や仲の良さを推定することに成功しています。この知見を用いつつ、サイバー空間で用いられるテキスト、音声、動画などのコミュニケーションメディアの特徴量も活用し、「心の距離」を計測する手法を提案します。次いでこの手法を一対多の関係での「心の距離」の計測手法へと発展させ、サイバー空間における人間関係の可視化を試みます。

2.研究紹介

※現在準備中です。

Project No.3

グループリーダー
スポーツ健康科学部 スポーツ健康科学科

山浦 一保 教授

1.研究テーマ

心の距離メータにおける心理的意味づけ、人間関係構築基盤技術の開発
フィジカル・サイバーそれぞれの空間において岡田・西原両グループが捉えた心の距離や人間関係に関する数々のデータについて、心理学の観点からその「意味づけ」を行います。岡田・西原グループが行う計測にも参加し、各種心理指標で構成したアンケート調査を実施。そこで得たデータと、先の2グループで開発された定量評価測定に基づくデータ、さらに最後の向グループで得られた身体的健康のデータを突き合わせて、各データに心理的・主観的意味づけを行い、解釈可能なものにします。加えて、個人および集団に対する「心の距離」計測結果の効果的なフィードバック法の開発にも取り組みます。計測によって「心の距離」を可視化できたとしても、それを本人にとって良い人間関係の改善につなげられなければ意味がありません。そこで岡田・西原グループの実験参加者への聞き取り調査やフィードバックに関する調査を実施。「心の距離メータ」の指標を踏まえ、いつ、どのような情報を、どのような頻度・形式で提供するかなど、対象者にとって有益かつ効果的なフィードバック内容を策定し、実証を試みます。

2.研究紹介

※現在準備中です。

Project No.4

グループリーダー
生命科学部 生命医科学科

向 英里 教授

1.研究テーマ

人間関係の質向上と健康の関係解明、健康効果の検証

人間関係の質や心の状態の変化が身体の健康とどのように関係しているかを検討します。岡田・西原グループが計測したフィジカル・サイバー両空間および融合空間における人間関係と心の状態の客観的・定量的なデータと、身体の健康状態との関係性を明らかにします。まず呼吸数や心拍数、心電、血圧や血糖値など生活習慣病に関わる因子に加えて、心的ストレスによって過食や栄養過多に陥りやすくなることから栄養調査も適宜実施し、総合的かつ網羅的に健康状態の変化を把握します。それらと人間関係、および心の状態の計測データとの関係性を明らかにし、バイオマーカーによる健康指標を開発します。いずれは山浦グループで開発されたフィードバック手法によって人間関係が良好に変化した場合、健康状態も良くなることを実証し、人間関係の質の向上をサポートするシステムの実現を後押しします。

2.研究紹介

※現在準備中です。